「1,000円だけ入金」は絶対ダメ!借金がチャラになる「時効」を消滅させる、業者の狡猾な手口

やってはいけないこと

5年逃げ切れば借金は消える?「時効」の誤解

「借金をしてから5年経てば、時効でチャラになる」 そんな噂を聞いたことがあるかもしれません。

確かに法律上、商事債権(消費者金融やカードローンなどからの借入)は、最終取引日から5年が経過すれば、時効を主張して支払義務を消滅させることができます。これを**「時効の援用(えんよう)」**と呼びます。

しかし、元・回収業務部長として断言します。 私たちは、そう簡単に「5年」を迎えさせません。

5年というゴールテープの直前には、**数えきれないほどの「落とし穴(トラップ)」**が仕掛けられています。今日はその裏側をすべて暴露します。

業者には「時効管理リスト」が存在する

督促の現場には、顧客データとは別に**「時効管理リスト」**という恐ろしいリストがあります。

経過4年目: 「要注意リスト」に入ります。この時期から、担当者の管理が別枠になり、接触頻度が上がります。

経過4年半(残り半年): 「赤色アラート」です。ここからは通常の督促ではなく、**「法的手続き(裁判)」**の準備に入ります。

なぜここまで徹底するのか? それは、裁判所を通して「債務名義(判決など)」を取ってしまえば、時効期間が「5年」から一気に「10年」に延長されるからです。

あと半年でチャラになったはずの借金が、裁判を一つ起こすだけで、プラス10年。 つまり、合計15年近く追いかけ回せることになります。これが業者の狙いです。

絶対に引っかかってはいけない「債務承認」の罠

時効を成立させないための最大の武器、それが**「債務の承認」**です。 債務者が「私には借金があります」と認める言動を一度でもすれば、その瞬間に時計の針はリセットされ、また1からカウントし直しになります。

業者は、あの手この手であなたに「承認」させようとします。

罠1:「1,000円入金」と「相談希望」のチェックボックス

「全額は無理でも、誠意を見せるために1,000円だけ入金しませんか?」 これは前回の記事でも触れた有名な手口ですが、罠は「入金」だけではありません。

自宅に届くハガキや回答書をよく見てください。以下のようなチェックボックスがありませんか?

[ ] 今は払えないが、相談したい

[ ] 分割払いなら可能

[ ] 1,000円なら支払える

これにチェックを入れて署名して返送したが最後。 **「自分に借金があることを認めた(承認した)書面」**として、時効を中断させる強力な証拠になります。

罠2:電話の「誘導尋問」と録音データ

業者は通話をすべて録音しています。これはオペレーターの教育用ではなく、**「裁判の証拠用」**です。 もし裁判になった場合、通話内容を「文字起こし」して証拠提出します。

オペレーターは、言葉巧みに以下のようなセリフを引き出そうとします。

業者:「今は厳しいですか?」

あなた:「はい、今はちょっと…(=あるけど払えない)」

業者:「いつ頃なら落ち着きそうですか?」

あなた:「来月ならなんとか…(=来月なら払う意思がある)」

業者:「では、少し待ちますね」

あなた:「すみません、お願いします(=支払いを待ってもらう利益を受けた)」

これらはすべて「債務の承認」とみなされる可能性があります。 「払います」と言わなくても、「待ってほしい」と言っただけでアウトになるケースがあるのです。

元部長の裏話: 逆に、電話口で「身に覚えがない」「使った記憶がない」と強く主張されると、少額の場合は諦めることがありました。 最近はフィッシング詐欺などが多いため、調査コストと回収見込みを天秤にかけ、「割に合わない」と判断されることもあるからです。

「少額だから裁判されない」は大間違い!サービサーの恐怖

「借金が残っているけど、たった5万円だし、裁判なんてされないだろう」 そう思って放置している人が一番危険です。

確かに、銀行や大手消費者金融(貸した本人)は、コストを考えて20万〜30万円以下の少額債権では裁判をしない傾向があります。

しかし、債権が**「サービサー(債権回収会社)」に売却された場合**は話が別です。

仕入れ値の秘密: サービサーは、あなたの借金を元金の1%〜10%程度という激安価格で買い取っています。(例:10万円の借金なら数千円で仕入れる)

薄利多売モデル: 彼らにとっては、数打ちゃ当たる戦法です。5万円や10万円の借金でも、コストをかけてガンガン裁判(支払督促)を起こしてきます。

「少額だから大丈夫」という甘い考えは、プロの回収業者(サービサー)相手には通用しません。

時効期間が「過ぎた後」でも請求書は届く

ここが法律のややこしいところですが、5年が経過して時効期間が終わっていても、業者が請求書を送ること自体は「違法」ではありません。

業者は「あわよくば、知識のない人が払ってくれたらラッキー」と思って請求を続けます。 ここであなたが、うっかり電話をして「払います」と言ったり、1円でも払ってしまうと、「時効の援用権(時効を使う権利)」を喪失してしまう可能性があります。

「もう5年以上前の話だから」と油断して対応すると、消えるはずだった借金が完全復活してしまうのです。

まとめ:あなたの借金はいつのものですか?

もし、届いている請求書を見て、以下の条件に当てはまるなら、絶対に業者へ連絡してはいけません。

最終取引日(最後に借りた、または返した日)から5年以上経っている

過去10年以内に、裁判を起こされていない

この5年間、一度も「払います」「待って」と言っていない

この場合、**「時効の援用」**という手続きを内容証明郵便で行えば、借金がゼロになる可能性が極めて高いです。

しかし、自分ひとりで判断するのは危険です。 「実は途中で1回電話していた」「裁判所の通知を無視していた」というケースがあるからです。

まずは専門家に「私の借金、時効になっていませんか?」と無料相談することをお勧めします。 あなたの借金が「チャラになる」のか、「10年延長コース」なのか、プロならすぐに判断できます。

警告: 時効の判断は1日単位です。明日、業者が裁判を起こせばアウトです。手遅れになる前に確認してください。

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